白石/hitodama128/コースの雑記

白石倖介(ひとだま128)(コース)の雑記です。Tech・まんが・毎月のまとめなどを書きます。お仕事依頼はメールをください(記事を書いたり、編集したり、写真を撮影したりできます)Mail:hitodama128 at icloud.com

リヨン旅行記(オタクがフランスでフリースタイル早口オタクラップをやった話)前編

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シャルル・ド・ゴール空港です。

 

11月15日〜20日までフランスに行ってました。3泊5日かな、そういう旅程です。
僕の父親は「デザイン」と「日本酒」の仕事をやっているのだが、加えて3年ぐらい前から「オタラップMCバトル」という「オタクのフリースタイルラップバトルイベント」を企画している。僕は父親とともに、「オタク・ラップ世界」を盛り上げていこうと、まあそういう活動をしている。ここに突っ込みが入るとかなり説明が長くなるのでここは飛ばす。
父は今年、酒の仕事で数回フランスに行っており、そこで知り合った日本人のごはんイベントを動かしている人に、「そういえば白石さん、なんか面白いイベント企画してたよね? リヨンで開催される日本エキスポみたいなやつに出展してみない?」というようなお誘いをいただいて、今回「オタラップMCバトル in France」が実現した。
フランスに行くのは父と、MCコースこと僕と、オタラップMCバトルに初回から出演しているMC Wood。
Woodさんはプロデザイナーであり、友人のバンド挫・人間のツアーTシャツ(通称”コロT”)のイラストレーション・デザインなどもやっている男だ。寡黙で実直な、今に至るまでラップになんの興味も持たない、ただのイラストレーター・デザイナーなのに、謎の力が働いてオタクと一緒にラップをすることになり人生の狂った男だ。このカルチャーの1番の被害者であり、それを物語と捉えるならば悲劇か喜劇かもわからない。ちなみにMCバトルではフリップを使った独自のスタイルでバトルを行う。

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真ん中のアフロがMC Wood。マイクではなくペンを握る謎のスタイルで、 異色の社会人オタクラップグループ「NAKAZ TOBAZ」のメンバーとしても活動中。

 

と、キャラクター紹介の時点でかなり意味がわからない。ちなみに僕もこのイベントによって人生を大幅に狂わされており、自分のオタクの早口を「ラップ」と言い張りながら他方で開催していたラップバトル「マンガMCバトル」に出場、対戦相手の人気ラッパーなどに早口オタクを押し付けて優勝、商品に「水木しげる作品集 第1期」をもらったりしている。

さて、そのような経緯でそのようなメンバーがフランスに行くことになった。話をもらったのは8月ごろで、「マジかwwwwww」などと言っていたら瞬く間に2カ月が経ち、開催地の詳細やイベントのタイムテーブル、滞在日程なども明らかになり、現地でお世話になる人々とのビデオチャット会議や仕事の日程調整などを経て渡仏と相成った。ちなみにバカなので仕事の日程調整は全くできておらず、ライブを見たあと徹夜で原稿書いてそのまま成田に行った。

前提を書くのに1000文字もかかってしまった。

さて、そんなわけで渡仏。父は飛行機も宿も別なので、僕はWoodさんと行動をともにすることになった。15日9時ごろ、成田空港で出会ったWoodさんはどう見てもやつれており、聞いたら徹夜で仕事をしてそのまま来たという。僕も同じく徹夜なので、やつれたオタクの男が2人で立つ成田のそぐわなさに笑ってしまった。
搭乗して12時間、エールフランスのエコノミーでフライト。機内アナウンスがすでにフランス語で、面白い。先月行った台湾でも感じたが、「一言も言ってることがわからない人間」を目の当たりにするのはかなり面白い。ちなみに台湾旅行は、中国語は読めないものの漢字の意味はわかるので助かった。対してフランスはすべてアルファベットなのに加えてフランス語も全くわからないため、もう渡仏前に全てを諦めていた。Woodさんは初海外、僕もユーロ圏は初めて。しかも今回は旅行ではなくイベントの登壇なのでコミュニケーションがかなり大事なのだが、現地の通訳を信じるしかない。そして僕らは中学英語とGoogle翻訳で戦うしかないのだ。

12時間ほどのフライトを経てパリのシャルル・ド・ゴール空港に到着。そこからトランジットして1時間ほどのフライトで、イベント開催地であるリヨンに向かう。

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ちなみに今回登壇する「JAPAN TOUCH」というイベントはリヨンで10年行われているジャパンカルチャーのオールジャンル展示会で、マンガやフィギュア、ゲームのショップから、バンドの演奏、盆栽の展示まであるという、まさにオールジャンルなイベントだ。僕らはリヨンの「Asian Dreamer」という団体との共催でオタラップを出展することになっている。

現地時間15日の17時ごろ、リヨンのサン・テグジュペリ空港に到着。ビデオチャットで顔を合わせた現地の人が、2人で迎えてくれた。

一人はabi。「Asian Dreamer」のスタッフだ。とても若いが、滞在中に見た彼女は常に利発で、勝気で、仕事のできるパキパキした人だった。英語もほとんど通じない彼女だったが、僕らの滞在中、常に僕らのことを考えてくれていたことは、言葉を越えて伝わった。
もう一人はTomas。今回の通訳を担当してくれた。まだ学生だが仏日英韓語を話すスーパーマンで、日本への留学経験もあると言っていた。背の高いキリッとした格好いいやつで、しかし、高い声で丁寧に話す姿に不思議な愛嬌のある人だった。彼は”悦二郎"という名前でコスプレイヤーをやっており、そんな彼の活動がイベント本番でとても大きな役割を果たすことを、僕とWoodさんはまだ知らなかった。

2人はタクシーを手配して、僕らをホテルに送ってくれた。Abiは自分の車で僕らに同行した。Tomasは日本語がうまい。タクシーの中でも、「フライトは大丈夫でしたか?Wi-Fiルータは必要?」などと気遣ってくれた。ちなみに僕はオタクなので現地SIMをあらかじめAmazonで買っていた(結局、Twitterの凍結が怖かったのでソフトバンクの海外自動パケホーダイプランを使ったが)。

18時ごろホテルに着いた。「JAPAN TOUCH」は空港にほど近い展示場「EUROEXPO」で行われ、僕らのホテルは空港を挟んでEUROEXPOの反対側にあった。空港近くなのでほぼ何もない、閑散とした場所だった。
ホテルに到着後、早速問題発生。夕食の手配がされていなかったという。僕らも大人なので、近くにレストランでも探すよ、と言ったが、彼らは事態を重大に捉え、Abiの車でバーガーキングに連れて行ってくれた。写真を撮り忘れたがとにかく、デカい。1000円ぐらいのセットで、価格も内容も日本とあまり変わらないが、バーガーと飲み物がアホみたいにデカい。さっそく洗礼を受ける私たち。しかもWoodさんは言葉がよくわからないままセットを選んだら、ただのポテトを選んだはずがチーズとベーコンの細切れが乗ったやばいポテトになっていた。

海外旅行はやろうと思えばすぐにできるけれど、現地の若者とファストフードを囲みながら会話できる機会なんて普通の旅行じゃそうそうない。そんな機会が渡仏後早速巡ってきて嬉しかった。Abiは21歳、Tomasは23歳だと聞いた。「見た目からは東洋人の年齢がわからない」なんて通説の話もした。僕らの見た目も実年齢より若く見えると言っていた。僕は日本人どころかワールドワイドに人間の見た目から年齢を推測するのが苦手で、そもそもあんまり人の年齢に興味もないので(聞けばいいし)、やっぱり彼らの年齢を当てることはできなかった。

その後ホテルに送ってもらい、初日は終了。ホテルのベッドが小さくて、Woodさんは「私で小さいんだから、こっちの人無理でしょ」などと愚痴をこぼしていた。

 

2日目、起床。今日はお昼に市内に行って、現地スタッフとの打ち合わせなどを行なったのちに、昨日会った2人がリヨン旧市街を案内してくれるらしい。その後イベント開催地の下見もする予定だ。ホテルで朝ごはんを食べて、フロントでタクシーを呼んで市内に向かう。
ホテルの朝ごはんはパン・チーズ・コーヒーなどのバイキング形式で、普通の、むしろ少し質素なものだったが、とにかくパンとチーズとコーヒーがめちゃくちゃ美味しいので優勝。バターも無塩バターだし、チーズはブリーがホールで置いてあるし、無敵か!という感じだった。

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ホテルの朝食。そもそも生活がバグっているので、毎朝決まった時間に御飯食べられるだけでかなり満足。 


タクシーで市内に向かう。市内の「市場兼ご飯どころ」的な施設で全員合流し、お昼ご飯を食べた。

 

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市場の様子。鶏が結構ショッキング。  

 

そういえばボジョレー解禁してるじゃん、ということでリヨンで解禁直後のボジョレー・ヌーヴォーも飲んだ。

 その後、AbiとTomasの案内で「リヨン旧市街」へ。
リヨンは古い街だ。15世紀の建物なんかが残っており、新旧の景色と生活が混然とした街に見えた。

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左がリヨン市内・右は旧市街で撮った写真。シームレスにこういう町並みが出現する。 

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旧市街の町並み。

 

彼らの案内で観光しつつ、Woodさんの強い希望でリヨンの「印刷博物館」へ向かった。この博物館がめちゃくちゃ素晴らしい。ユーロを起点にさまざまな「印刷」の歴史を紐解き、銅板・活版と進む時代の中、一番最後にはDTPの始まりまで展示されていた。

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印刷博物館では活字拾い(いわゆる、『銀河鉄道の夜』のやつ)の時代からコンピューティングの台頭までを追いかける素晴らしい展示を見られた。

 

ここで出会ったApple Keyboard IIのAZERTY版がめちゃ格好いい。絶対扱えねえ(だってAとQ・ZとWが入れ替わっちゃってるから無理)、扱えねえんだけど欲しい。

 

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そんな感じで観光を終え、我々は明日の展示会場、EUROEXPOへと向かった。EUROEXPOがとにかくデカい。ホールが7つあり、JAPAN TOUCHが行われるのはホール2。ホール7付近で車を降りてしまったので、小雨の降る中とにかく歩く。ユニクロのブロックテックが超優秀。ホール2に着くとこれまたデカい。ホール2だけで国際展示場の東123+456ぐらいあったように思う(伝わる人にだけドンピシャ伝わる例え)。ここで我々のブースを探すためにこれまた歩く。歩き、歩き、歩くとようやく見つけた我々のブース。父の会社ではオリジナル製品も扱っているので、Tシャツやシールなども売る予定だったのだが、これらが税関でストップしてしまい、我々は売る物のないブースの前で心もとない顔に喜びを湛える複雑な表情で写真を撮った。

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売るもの無いけど……。

 

Asian Dreamerの偉い人とも挨拶をした。とにかく、当日お世話になる人々に次々とあいさつをして行くのだが、「舞台監督を出してくれ」「当日のリハを舞台でやらせてくれ」という要求は全く通らず、ここでリハ無しが確定した。また、現地でDJを担当してくれる青年、Reda君とも出会った。我々のアクト中、「バースの間にリアルタイムでスクラッチを入れることは可能か?」ということを聞くと、機材がないので難しいという。仕方がないので、「bpmを揃えてスクラッチを入れてくれ」「8小節で4回スクラッチだ」「速い」「まだ速い」「遅い」などとやり取りをしてなんとか当日用のサウンドが完成。彼とはうまくやっていけそうだと思った。

こんなやり取りをしてイベント準備は終了(できないことがたくさんあることがわかった、ぐらいの準備だが……)。とりあえずホテルに戻った。

晩御飯を食べるため、ホテル付近のご飯どころを検索して向かう。英語メニューがないのでGoogle翻訳全頼みでバーガーを頼み、Woodさんとワインを飲みながら明日のことを話し合う。僕はフリースタイルでやるだけなのだがWoodさんはアクトに事前準備が必須なので、これから来る大量の仕事に対して今から疲れ切っている、というような表情だった。

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肉ばっかり食べてるな? お腹弱いけど滞在中一度もお腹壊さなかったよ。

3日目、起床。いよいよ本番である。ところで、Woodさんはユニットバスを使うのがめちゃくちゃうまい。水滴一つこぼさないで風呂からあがるので、一度「本当に風呂上がりました?」と聞いてしまった。
本番の日は午前中に赤字を戻す仕事があったので、iPad Pro+Apple Pencilが超仕事をした。Mac持っていくか直前まで悩んだけど、iPadで行けた。本当に良かった。不安だったので一応家のMacは電源つけっぱでリモート確認できるようにしてあったけど、使わなかった。
ちなみにこの時赤字を入れていた記事が、こちら。

realsound.jp

リヨンのホテルでキズナアイの楽曲プロデューサーインタビューに赤を入れ、午後には舞台で「オタク・ラップ活動」のプレゼンをするオタク。なんだそれ。

 


と、ここまでで5000字。あまりに長いので、前後編に分けますね。