白石/hitodama128/コースの雑記

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古いガラスと旧校舎の思い出。

小学2年生のころの話。
僕が通っていた学校には校舎が2つあった。1・2年生の教室がある校舎と、3・4・5・6年生の校舎は別れており、先輩の校舎は僕らの校舎よりもずっと古かった。入学した時点で「旧校舎」と呼ばれていたその建物に、僕は憧れていた。
旧校舎は本当に古くて、窓枠などはメッキが剥がれ、その剥がれた上から緑のペンキを塗ってあったので、不格好にぼこぼこしていた。窓ガラスは今のものよりも純度が低いのか、透過率が低いのか、あるいはそのいずれもなのか、わずかに青くて分厚くて、ボッテリとしたガラスは、なんだかべっこうあめに似ていた。おそらく木造で、エアコンも入ってなかっただろう。教室は暗く、扉はガタついた。でも、僕らは旧校舎に憧れていた。上級生がいるのであまり行けない場所だったこともなんだか魅力的だったし、「学年が上がると校舎が変わる」というのは「Lv.が上がるとトライできるステージが増える」という仕組みに似ており、格好よかった。
しかし僕らは、進級しても旧校舎に移動することはなかった。僕らが3年生になるタイミングで、旧校舎を取り壊して新しい校舎を建てることになったからだ。
工事期間は2年間。5年生になるころ、僕らは完成したての「新校舎」に移る。
そしてその工事期間に、僕らは「プレハブ校舎」に移された。
いきなりグラウンドにドーン!と建った無骨な校舎。真っ白で四角い、ポリゴン創成期のゲームみたいな味気ない"なり"に、めちゃくちゃテンションが下がったのを覚えている。ただ、「ステージが変わる」ことへのワクワクは変わらなかった。3年生になったら、1Fに職員室、2Fに教室のあるプレハブで授業を受けた。
うちの学校には「廊下は走るな!」という規則はなかったのだが、プレハブ校舎の間だけは、「底が抜けるからマジで走るな」と先生がすごんでいたので、誰も走らなかった。

そして5年生になるころ、新校舎は完成した。僕らは「新校舎の1期生」として、ピッカピカの教室で授業を受けることになった。
新校舎は衝撃だった。当たり前だがサビや剥がれはどこにも見当たらず、明るい色のフローリングと白を貴重にしたモダンな佇まいが美しい校舎だった。先進的なドアの無い教室は「オープンスペース」と呼ばれており、開放的で実用性も高かった。

だけど、新校舎に移ってもなお、僕はすでに取り壊されて跡形もなくなった旧校舎に少しだけ憧れていた。今思えば、郷愁に近い気持ちだったのだと思う。新校舎はたしかにキレイで、ステキだった。UVカットが入った最新のガラス戸は、引っかかること無くつるつると滑った。だけど、僕はあの古い校舎にあった、何度もペンキを塗られた窓枠に愛嬌を感じていた。暗い教室が、少し怖くて、でも怖いことにワクワクしていた。
時間が経って大人になっても、未だに僕は古いガラスが好きだ。特有の無骨な青い姿を見るたび、かつて行くはずだった旧校舎を思い出してしまう。


現住居の最寄り駅が増改築のキメラのような駅で、数枚のガラスがとても古いままなのを最近発見して、こんなことを思い出しました。

ちなみに、新校舎はとってもきれいで素敵な校舎だったのだが、僕らが移ったタイミングで「カラフルなだるま落としの胴体とホウキを組み合わせた廊下ホッケー」が大流行してしまい、赤や緑・黄色など色とりどりのだるまの胴体を、全力で振ったホウキでブンと叩き滑らせまくった結果、廊下と壁に大量のカラフルな擦り傷を残してしまった。初年度からあんなに校舎汚したの僕らだけだと思う。ごめんなさい。