白石/hitodama128/コースの雑記

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今、僕が眠れない理由

泣いた夜の野暮です。

セトリに沿ったレビュー的文章や、「ライブのここが格好良かった!」みたいな総括、今までのライブとてらした評論や、メンバーへの思いなど……を書く気持ちには全くなれず、
しかし眠れず、
結果、心に寄り添ってライブの感想を書いた……。
あまりに気持ちが大きくて、纏まらなかったのだけど、「纏まらない気持ち」を文字にするのは、それはそれで大事かな、と思ったので、書き立てほやほや。こういう書き方普段絶対しないから、不安がいっぱいです。

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スガさんの、スティックを"くるっ"てやる、そんなお茶目さと、全くハズさないタイトさや、隅々に見える力強さが全部同居して、「挫・人間のワンマン、絶対いいものにするぞ」って兄貴的な感じがバンバン出てて、メタもるでドラムの後ろからニョキ〜って出てきて下川の後ろでブンブン踊るところはもうO.S(オーバー・ソウル)みたいになってて本当にいいお兄さんって感じに見えてしまって……。

アベくんは常にテクニカルかつパワフルなんだけど、今日は序盤からフルスロットルで、いつも感じるオシャレな小気味良さに加えて、それをどデカイ拡声器で響かせたような、オシャレのひずみが見えて、しかもそれはこの大舞台に似合う豪胆さを合わせ持ち、したたかな指さばきと身体のしなやかさ、不意に腰を落として細かな演奏をする実直さみたいなものがまじまじと目の前にあって。

夏目くんがもう4曲目を弾いた後で泣き出しちゃって……もう……僕も泣いてしまった。
「人類」は夏目くんが入る前からずっとやっている曲だし、夏目くんも客として聞いているはずの曲だから、それをリキッドで、夏目くんが弾いているのを聞けることが、僕は本当に嬉しかった。
「俺が入った時にはもう挫・人間は客の全然いないバンドではなかったけど、俺もそういうところからバンドを始めたからそういう時期の気持ちはわかるし、そこからやってるから、ずっと……」って言ったところでもう泣きながら「夏目!」と叫んでしまった。
「俺は他の二人が挫・人間からいなくなっても絶対続けるからな」
たった一人で釈迦釈迦チキンのラストアルバム「葬式」を作った男が、冗談みたいに言ったこの言葉は、これは、全く冗談じゃないんだ。
僕は夏目くんのことを「ギターを弾くことで他のメンバーに気を使える人」だと思っているのだけれど、そんな彼が、4曲目の涙からはもう、いい意味で全くメンバーに気を使わないライブを始めていて、そこが清々しかった……。もう、演奏中下川の目とか見てないの。客のことずーっと見てて、ガソリンが切れることなんて考えないまま全力疾走するようなライブ。きっと自身の"今日"を見つけたんだろうなあって、後から勝手に思った。
ここ一番であいうえお作文がサイコーなところも、経験値バッチリ溜まってた。

下川はいつも、ワンマンの時はとても嬉しそうで、ワクワクしている気持ちが伝わってくる。でも今日はいつもより、ずっとずっと緊張しているような面持ちで、声にもそれは現れていて、なまものをありありと見せつけられた。しかし昔の曲を歌うと、顔も声も昔のような、布を切り裂くような声が出て、なんか、昔のように太っているようにまで見えてきてしまったんだ。
そんな彼が久しぶりに歌う「ピカデリーナ受精」が、「天国」が、そして最後の「サラバ17歳」が……この歌たちが、下川が歌い続けたこの歌たちが僕らをあの「恵比寿LIQUIDROOM」に連れてきてくれたんだなって……そう思うよりも早く、嗚咽と涙が止まらなくなってしまった。
信頼できる得難い友人たちとの最高の演奏……今年27歳になる下川の、その10年が今、目の前のどデカイステージで蠢いていること……リキッドルームで、最高の演奏をする挫・人間が「サラバ17歳」と歌うこと……嬉しさを起点とした想いが吹き出して涙が止まらなかった。

彼らが舞台を去り戻ってくる間、友人を振り返ったら、彼は言葉を少し選んだ後で「感慨…深いね…」と言った。その声でまた泣いてしまった。もうダメだ、今日はなんか考えるより前に泣いてしまう、と思った。
「下川最強伝説」の長いMCの最後、
「絶望は消えないとしても、それでも……タンポポに息を吹きかけて、美しく綿毛が飛んで、またコンクリートの隙間で新たな花をつけること……最後に手元に残るのがただ茎だけだとしても、俺はその行為を美しいと思う俺は今すごくいいことを言っている!」
と言った。これはずっと彼が続けてきた活動そのもので、そんな自身のロールを明示して「除霊」を行なったことが、もう、とてつもなく嬉しくて、また泣いてしまった。


「人間合格」というタイトルが、本当に素敵だと思うんです。たとえ不安になっても、入水自殺したい夜があっても、死ぬより、合格目指した方が絶対いいよね。
リキッドルームを出た時から今に至るまで、私の心もまだ、わやわやです。本当に嬉しかった。