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Hitodama128/Course128/しらいしこうすけの雑記。Tech・まんがなどについて書きます。Mail:hitodama128 at icloud.com

C94新譜「色眼鏡再録」を発売します。

8/10(金)、コミックマーケット94初日、西ほ-02b「アンダーリムサウンド」にて、6曲入り、過去コンピなどに収録したソロ曲をまとめて再録(一部再MIX)した新譜を500円で販売いたします。

タイトルは色眼鏡再録。収録曲は下記の予定です。

コミケ閉会後、ここに歌詞を記載します。

01 栞が見ている
02 1限の君へ…
03 藍のかくれんぼ
04 moonside.
05 自転(Remaster)
06 UGUC(Remaster)

 

よろしくお願いいたします。

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thx オタク早口大会

「第10回 オタラップMCバトル」が終了しました。見に来ていただいた方、大変ありがとうございました。少しでも誰かに知ってほしかったので、前日にInstagramYoutube・Periscopeで自宅生配信をやったのですが、それを見て来場してくれた方が数名いらっしゃって、本当に本当に嬉しかったです。

今回僕は運営でも何でも無いのですが、運営と(血縁上)近いところにいるので、複雑な思いがあるわけです。リアルイベントって本当に難しくて、足を運ばないと得られない体験が確実にあるけれど、それに準ずる体験をインターネットは提供してくれるので、だったらいいか、ってなっちゃうんですよね。演劇とか、それにずっと苦しんでいるメディアだと思う。でも、劇場体験って、劇場にしか無いんですよね。それはライブハウスも、クラブも、劇場も、一緒だと思う。

で、加えていうと「独りで知らないイベントに足を運ぶ恐怖」も僕はたくさん知ってるわけです。大学などにいると、イキイキランランと目を光らせた陽の者が、私のような陰の者にも声をかけてくるわけです。「マジ、仲間と今度イベント打つんだけどコウスケ来ない?」みたいな恩寵を賜るわけです。
で、僕は行くんです。
後日足を運んだ下の北の沢のライブハウス、タバコの煙が照明に照らされて、灰色の空間に濁った空気が漂い、それを切り裂くように爆音で流行りの音楽が流れている。全く興味のない空間、声をかけてくれた奴以外知り合いはいない状態、当時まだiPhoneなんて誰も持ってない(僕はApple好きなので持ってたが、僕しか持ってないってことは全く役に立たない。1人だけトランシーバ持ってんのと変わらん)。更にいうと地下のライブハウスなんて全部圏外。そうなると、暇を潰すこともできないで体を揺らす。水着のような服を着た女たちの狂騒から目を横に逸らせば、カタツムリの交尾のように口蓋粘膜をすり合わせる男女。通信は途絶えた、否、自ら通信圏外へと足を運んだひとりきりの戦場、変わらず爆音は響き、大気は汚れ、ここでは人類の狂乱がすべてを肯定する、あ、これ『北斗の拳』の導入部で見たことある!地獄!これは、地獄!
みたいなことを何度も体験してきたので、うかつに「みんな今度イベントやるから来ちゃいなよ〜〜!」みたいなことを言いたくない、というより言えないわけです。

だから配信でも上に書いたようなことを言って、それでももし来てくれるなら嬉しいです……!って言ったら、ホントに来てくれたのでめちゃくちゃ嬉しかった。改めて、ありがとうございました。感謝しております。

大会の内容としては、私は1回戦敗退でした……せっかくゲストバトラーとか言って出してくれたのにごめんなさい……。あと、キャプテン・アキハバラ氏のライブにちょっと出させてもらい、1バースだけやりました。その後は延々と日本酒を飲みました。
意味がわからないのですが、オタラップは徳島の三芳菊酒造さんがスポンサーになってくださっておりまして、日本酒が美味しいイベントです。

三芳菊酒造【三芳菊】

 

と、イベントも終わりまして、夏コミ用の音源をちまちまと作っておりますが、ソロは間に合わない色が濃厚になってきた……。アキハバラサイファーの音源では、マイクリレーとあと必ずソロ1曲入れるので、お聴きいただければ幸いです。

 

 

あと、毎週水曜日(つまり今日)は渋谷のLibraryでオタクとサイファーしてるので、ぜひ見学に来てください。三芳菊も飲めます。

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早口でしゃべるオタク

白石(ひとだま128((コース))です。こんにちは。

あれは2015年が始まってすぐのこと。家族とテレビを見ていたら、酔っ払いが渋谷の路上で即興ラップを披露していた。あまりにも下手だったので、思わず言ってしまった。
「あんなん、俺でもできるわ」
その数日後、デザイン事務所を営む父が、謎の企画を持ってきた。
「ウチの会社でオタクのラップバトルを企画するから出演して
こうして2015年4月25日、「第0回アキハバラサイファー・オタラップバトル」が開催された。全く意味不明なのだが、ただのオタクだった私が、見よう見まねでラップっぽいことをする現象は、ここから始まった。

オタラップバトルはその後も回数を重ね、さらにその年の秋に「フリースタイルダンジョン」という番組が始まり、なぜかMCバトルやラップが流行してしまった結果、プレイヤーの数もどんどん増えて行った。プレイヤーが増えたらそれが行われる場所が増えるのもまた必然で、2016年の春からは秋葉原の公園でオタクたちがサイファー(ビートを流してフリースタイルラップで語り合う集会)を始めた。今でも毎週土曜日or日曜日、秋葉原で行われている。見学歓迎。
また、毎週水曜日19時からは渋谷のバー「Library」でオタクがサイファーをしている。人数の多い日はバトルも行われている。

また、僕らの身に何が起きたのか、いま秋葉原と渋谷で何が起きているのか、という諸々を、Lute x Kai-youに取材してもらった記事もあり、これは面白いです。

 


DAX × lute:オタラップ 〜ビートの上で早口で語るオタクたち〜 前編


DAX × lute:オタラップ 〜ビートの上で早口で語るオタクたち〜 後編

 

kai-you.net

 

文化の初期段階というのは、いろんなことが起きるため、現状でもオタクxラップの状況はガチャガチャしている。「オタクラップを生で見られる場所」を以下にまとめてみた。

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・オタラップMCバトル
Twitter@yootarap

私の父の「オタクにMCバトルさせたら面白いんじゃね?」という地獄のような提案から始まったMCバトルの大会不定期に催されており、最近は同人誌即売会も盛り込んでいる。全くラップをできないオタクが無理やり頑張る姿が時々胸を打つ。次回開催は7/27@Space emo池袋。


秋葉原サイファ
Twitter@akiba_cypher

2016年春から始まったサイファ。毎週、基本は土曜日、日によって日曜日にオタクが集まってフリースタイルをする。見学自由、入退場自由。好きに酒飲みながらビート上でオタクとお話ししましょう、というような催し。
路上で出会った仲間たちで盛り上がり、コミケでCDも出している。 1stのジャケットはこちら。

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CDアルバムのジャケットにオタクが写っている量」でギネス世界記録取れると思う。
今年夏のコミケにも参加予定(金西ほ02a)。


・夜のオタラップ
渋谷にあるバー「Library」では、毎週水曜日オタクラップデーを開催している。普段はラグジュアリィなバーなんだけどこの日だけはオタクだらけでサイファーを行っている。人数とタイミングが噛み合ったらバトルもやってる。Youtube、インスタで配信中。
Instagram:@yootarap
YoutubeオタラップMCバトルチャンネル
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そして、明日(7/27)には「第10回オタラップMCバトル」が開催。とうとう2桁に来てしまった。総勢31人のオタクが戦ったり、ライブしたり、ここでしか飲めない日本酒が飲めたりします。私は仲間と作ったコンピレーションCDを持っていき、オタクとMCバトルもします。

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意味のわからないカルチャーが、秋葉原と渋谷を起点に始まっており、「意味不明」をそのまま面白がってほしい、という気持ちが強くあります。
意味のわからないものを見に来てほしいので、ぜひ明日、池袋に来てください。

6月のわたし。

物語の終わりについて連載をすると書いたが、あれは書こうと思ってた物語を再読する必要があり、しかも今手元になかったりするし、何よりオチの読書感想文は未見の人に与えるダメージがでかいのでやめた。ネタだけ下に書いておく。

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ガンスリンガー・ガール指輪物語「愛した日常を去る船の永遠」
ルパン三世 カリオストロの城「シリアスからコミカルへと帰るキャラクターたち」
漫画版 真月譚月姫「圧縮される時間」
鈴木先生の話「箱庭の神格を託された『神の娘』」
漫画版新世紀エヴァンゲリオンの話「輪廻を超える福音」
ポーの一族「わたしたちといっしょに、ときをこえて遠くへいく?」

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ポーの一族』が40年ぶりに再連載を開始して、多くの世代の人々が度肝を抜かれており、そもそも物語の終わりってなんだ?という思いから色々書いたのだが、まとめると平凡だった。なぜかというと、まとめてしまうと「読んでくれ」としか言えないからだ。
桜庭一樹は物語を書くことを「まだ名前のついていない感情に名前を付ける行為」だと言った。それを外野がやるのは間違ってる、ということだと思う。
上にあるネタ全部合体させていくつかのエンディングについての考察を織り交ぜながら1本の長い文にしたほうが良さそう。もし、上のネタについて気になったら直接聞いてくれたら口頭でやります。

ツイッター歴があまりにも長く、140字を超える文章の構成に時間がかかるようになってしまった。少しでも文章を書くカンのようなものを得たいと思いブログに向き合う。なんとか3日に1回、あるいは週に1回程度は日記のように更新したく思っていたのだが、なかなかうまく行っていない。5月14日以降何してたのか、ざっくり書いていくことにする。

 

<5月>

・友人の結婚パーティに行った

中高の同級生が結婚するということで、パーティに出席した。結婚パーティに出るのは今年2回目で、同級生の結婚を目のあたりにするのも今年2回目、加えて言うなら人生2回目だ。
結婚パーティは祝祭の塊で、そこにいる誰もがその人達を祝福する場所なので、催事に取り残されて壁際で携帯をいじりがちな僕でも、心からうれしくなるイベントでした。自分の葬式に来てくれる人を想像する遊びをやってる人が知り合いにいるんですけど、自分の結婚式に来てくれる人想像したほうが幸福の最大値が高いと思います。自分の結婚が結実することはかなり怪しいが、する場合は極力やりたい。

 

・4月に亡くなった高畑勲のお別れ会がジブリで開かれたそうだ。

高畑勲が死んでしまった。晩年の仕事は苦手なタイプの映画が多く未見だが、なにより「ホルス」と「ぽんぽこ」の高畑勲だ。
宮崎駿高畑勲に送った言葉が、涙なしには見られない。

高畑勲さん「お別れ会」 宮崎駿監督は声を詰まらせながら、亡き盟友を偲んだ(追悼文全文)
「パクさん。僕らは精一杯、あの時を生きたんだ。膝を折らなかったパクさんの姿勢は、僕らのものだったんだ。」

こんなに美しい言葉があるだろうか。苛烈に走り続けた人間の最後を、老体に鞭打って戦った弟子が見届けていた。
近藤喜文今敏高畑勲も死んでしまった……。

  

・挫・人間のインストアイベントに行った。

バンド名に中黒入ってると中黒をパラグラフに使いにくいなぁ。
『品がねえ 萎え』発売おめでとうございます。

品がねえ 萎え

品がねえ 萎え

 

<6月>

・原作『おもいでエマノン』読了

漫画版の1冊目だけ読んでいたのだけれど、漫画を全巻読み、原作も1冊目を読んだ。物語が続くほどにエマノンはどうしてもミューズになってしまうのだけれど、それを自覚している男性の物語がきちんと挟まれているのが、真剣で嬉しかった。「私って人類総体の『おもいで』みたいなもの」というセリフがすべてなのだ。すべてここに帰結するところがエマノンの清々しい強さだ。

 

・ライブめっちゃ行った

6/7 大森靖子ワンマン@リキッドルーム
リキッドの1列目は人生初。素晴らしいライブでした……。

6/9 SCRAMBLE@渋谷WWW
向井秀徳呂布カルマなど見た。

6/12 鈴木茂×猪野秀史 Special Support with 林立夫ハマ・オカモト~Tour 2018~@ビルボード東京
レジェンドが目の前でギターとか弾いてるの、もうすごすぎて面白くなってしまうやつでした。最高でした。

6/20 ベーソンズ「片目と語れ」@秋葉原グッドマン
これはライブを見た、というよりMCバトルに出させていただきました(私はコース(@Course128)、という名前でたまにラップをしたりMCバトルに出たり、でも中身は只のオタク、という"状態"をやっています)。いつもお世話になっております。ベーソンズはいつも格好いいのです。

6/23 Maison book girlワンマン@日本青年館ホール
着席で見られて嬉しかった。「my cut」も「レインコートと首のない鳥」も聞けて、とても嬉しかった。

6/24 挫・人間ワンマン@リキッドルーム
このライブはちょっと私の人生史に残る良いライブで、感想を書きました
追って追記するつもりではあったのですが、他人の名文が続々登場しており、僕が頑張らなくてもナタリーとかがライブレポ書くようなでかいバンドになっていたので、書かないかもしれない……。

6/30 さくらいっくぼっくす。'18@DMM横浜VRシアター
ブクガとDOTAMAと上坂すみれを同時に見られるイベントは意味がわからなくて面白かった。ブクガ、ARを駆使した「rooms」の演出は大変見事で、サビの無音の瞬間に室内と室外のコントラストを描く、ARでしかできない、第四の壁を人に見せる力技が光っていました。

 

<7月>

7/1 Yuki Kajiura Live@舞浜アンフィシアター
コレもいいライブでした。KEIKOとWAKANAが居ないのはめちゃくちゃ悲しかったけれど、「優しい夜明け」「The World」聞けて嬉しかったです。

 

・もうすぐコミケである。
実は「アンダーリムサウンド」という同人レーベルをやっており、コレがコミケに受かっています。やったー!と、喜び勇んで個人でソロ新譜を出すつもりだったのだが、ちょっと今、別の制作をやっていて音楽制作が手に付かない可能性が大きくなってきた。近日中にお知らせ出します。既刊もまだ売りたいという気持ちがあるので、最悪既刊を持っていきます。

そんな近況でした。

今、僕が眠れない理由

泣いた夜の野暮です。

セトリに沿ったレビュー的文章や、「ライブのここが格好良かった!」みたいな総括、今までのライブとてらした評論や、メンバーへの思いなど……を書く気持ちには全くなれず、
しかし眠れず、
結果、心に寄り添ってライブの感想を書いた……。
あまりに気持ちが大きくて、纏まらなかったのだけど、「纏まらない気持ち」を文字にするのは、それはそれで大事かな、と思ったので、書き立てほやほや。こういう書き方普段絶対しないから、不安がいっぱいです。

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スガさんの、スティックを"くるっ"てやる、そんなお茶目さと、全くハズさないタイトさや、隅々に見える力強さが全部同居して、「挫・人間のワンマン、絶対いいものにするぞ」って兄貴的な感じがバンバン出てて、メタもるでドラムの後ろからニョキ〜って出てきて下川の後ろでブンブン踊るところはもうO.S(オーバー・ソウル)みたいになってて本当にいいお兄さんって感じに見えてしまって……。

アベくんは常にテクニカルかつパワフルなんだけど、今日は序盤からフルスロットルで、いつも感じるオシャレな小気味良さに加えて、それをどデカイ拡声器で響かせたような、オシャレのひずみが見えて、しかもそれはこの大舞台に似合う豪胆さを合わせ持ち、したたかな指さばきと身体のしなやかさ、不意に腰を落として細かな演奏をする実直さみたいなものがまじまじと目の前にあって。

夏目くんがもう4曲目を弾いた後で泣き出しちゃって……もう……僕も泣いてしまった。
「人類」は夏目くんが入る前からずっとやっている曲だし、夏目くんも客として聞いているはずの曲だから、それをリキッドで、夏目くんが弾いているのを聞けることが、僕は本当に嬉しかった。
「俺が入った時にはもう挫・人間は客の全然いないバンドではなかったけど、俺もそういうところからバンドを始めたからそういう時期の気持ちはわかるし、そこからやってるから、ずっと……」って言ったところでもう泣きながら「夏目!」と叫んでしまった。
「俺は他の二人が挫・人間からいなくなっても絶対続けるからな」
たった一人で釈迦釈迦チキンのラストアルバム「葬式」を作った男が、冗談みたいに言ったこの言葉は、これは、全く冗談じゃないんだ。
僕は夏目くんのことを「ギターを弾くことで他のメンバーに気を使える人」だと思っているのだけれど、そんな彼が、4曲目の涙からはもう、いい意味で全くメンバーに気を使わないライブを始めていて、そこが清々しかった……。もう、演奏中下川の目とか見てないの。客のことずーっと見てて、ガソリンが切れることなんて考えないまま全力疾走するようなライブ。きっと自身の"今日"を見つけたんだろうなあって、後から勝手に思った。
ここ一番であいうえお作文がサイコーなところも、経験値バッチリ溜まってた。

下川はいつも、ワンマンの時はとても嬉しそうで、ワクワクしている気持ちが伝わってくる。でも今日はいつもより、ずっとずっと緊張しているような面持ちで、声にもそれは現れていて、なまものをありありと見せつけられた。しかし昔の曲を歌うと、顔も声も昔のような、布を切り裂くような声が出て、なんか、昔のように太っているようにまで見えてきてしまったんだ。
そんな彼が久しぶりに歌う「ピカデリーナ受精」が、「天国」が、そして最後の「サラバ17歳」が……この歌たちが、下川が歌い続けたこの歌たちが僕らをあの「恵比寿LIQUIDROOM」に連れてきてくれたんだなって……そう思うよりも早く、嗚咽と涙が止まらなくなってしまった。
信頼できる得難い友人たちとの最高の演奏……今年27歳になる下川の、その10年が今、目の前のどデカイステージで蠢いていること……リキッドルームで、最高の演奏をする挫・人間が「サラバ17歳」と歌うこと……嬉しさを起点とした想いが吹き出して涙が止まらなかった。

彼らが舞台を去り戻ってくる間、友人を振り返ったら、彼は言葉を少し選んだ後で「感慨…深いね…」と言った。その声でまた泣いてしまった。もうダメだ、今日はなんか考えるより前に泣いてしまう、と思った。
「下川最強伝説」の長いMCの最後、
「絶望は消えないとしても、それでも……タンポポに息を吹きかけて、美しく綿毛が飛んで、またコンクリートの隙間で新たな花をつけること……最後に手元に残るのがただ茎だけだとしても、俺はその行為を美しいと思う俺は今すごくいいことを言っている!」
と言った。これはずっと彼が続けてきた活動そのもので、そんな自身のロールを明示して「除霊」を行なったことが、もう、とてつもなく嬉しくて、また泣いてしまった。


「人間合格」というタイトルが、本当に素敵だと思うんです。たとえ不安になっても、入水自殺したい夜があっても、死ぬより、合格目指した方が絶対いいよね。
リキッドルームを出た時から今に至るまで、私の心もまだ、わやわやです。本当に嬉しかった。

借金玉氏のハウツー本は、人生という死にゲーのドキュメンタリーだ

この本には、発達障害者の死に覚えゲーの記録が残っている。タイトルは編集者と一緒につけたのだと思うのだが、恐ろしい内容だ。タイトルに辟易せず、すでに診断を受けている人にも、自身の発達障害を疑う人にも読んでほしい。

僕がADHDの診断を受けたのは小6の終わりで、動作性IQ74、言語性IQ124というデタラメな振れ幅が僕を僕たらしめていた。今に至るまで常日頃、「定型発達者から度々発せられる発達障害者への安易な共感」にイライラしていたのだが、この本にはその安易な共感がなぜ生まれるのかすら書いてある。なぜ定型発達者は、自身が知り及ぶことのできない私の苦しみに安易な共感を向け、「それぐらい大したことない」というような謎のレッテルを貼る悪趣味をみんなが持っているのだろう? と常々思っていた。彼らのそれは「対峙している人が、自身と同じ人間である」という安心を得るために存在するだけの、自己防衛的な感情であったか、断罪に快感を得る「優しくない人」なのだ、と思っていたが、これは「部族の愛」だったのだと今思う。
数多の発達障害者は(無意識にでも)人生を「死に覚えゲー」で捉え、向き合っていると思う。その「死にゲー」の記録が「ライフハック」として大量に書いてあることで、「これは俺もやってる」「これは俺には確実に向いていない」「これはやらなくても大丈夫」と、読むだけでその効能を推察できるのが素晴らしく、そう思った瞬間「あ、もしかして定型発達者は自己啓発本をこうやって役立てているのか!?」という気づきがあった。

僕にとって自己啓発本とは、
「テンションとプライドと声のでかい、高いネクタイをした男が自分の宗教を自慢する本」
「書いてあることは例外なく『それが出来るならこんな本読んでないわ』と一蹴せざるを得ない内容の本」
「一級品の材料だけで描かれた、『そんだけいい材料使ったら何でも美味いわ』という料理本」
でしかないと思っていたので、本当に衝撃を受けた。
僕は左利きなのだが、左利きは右利きよりも、自販機や急須や缶切りなどが「少しだけ」使いにくく、日々難儀している。これを言語化したときに右利きの人々は「なるほど」と相槌を打つのだが、同じ気持ちになった。
「出自のあり方から自己肯定感の薄い数多の発達障害者が、それでも社会で生きていくために行っていること」を、当事者の目線で言語化していることに意味があり、ドキュメンタリーとしての側面も持っている。
おそらく、100人の発達障害者が居たら、100つのハウツーがあるのだ。無意識にでも行っている、定型発達者から見たら奇異にも映るような行動が具体的に、それらの効能も合わせて記載されたことは、革命的なことであると思う。
例えば、「無くしたり、忘れたりすることを防げないなら、名刺ケースを4つ持つ」というのは、僕自身もやっていたハックだ(会社の下にダイソーがあったので、取材に行くとき名刺ケースを買いまくっていた)。
しかし、これは「ハック」として行っていたのではなく、忘れてしまうから行っていた。だからいつも「自分はアホだなあ」と思っていた。
しかしこれが「ハック」として定義され、実践できることで、発達障害者は自尊心を失わずに問題の発生を未然に防ぐことが出来る。「無理ならやらず、未然に回避せよ」が徹底されているのも、この本の素晴らしいところだ。「睡眠はスキルなので、スキルがない人はとっとと睡眠薬を飲め」なども圧倒的に正しい。

また、「人間関係」の章に関しては、自身も人付き合いの中でかなりの部分を解き明かしていたため気付きは少なかったが、同時に「こんなに大変な思いしてるの俺だけじゃないんだな」と思えて、気が少し楽になった。人は条件を定義して判断を積み重ねる生き物なのだと、人の尊厳は発達の度合いにかかわらず保たれるのだ、という当たり前のことに感動する。

反対に、自身に向いていないハックもある。僕には軽い書字障害が有るため、キーボードは無限に叩けるけどペンを握った瞬間何も書けなくなるので、メモ帳やアイデアノートの活用は自身には不可能だ。
でも、そんな自身にも、効率的に文章を書くための自分なりの技術がある。そして、それが他人の役に立つかもしれない、と気づけたことはこの本を読んで得た大きな収穫だ。
とにかくいい本だった。僕にとってこの本は自己啓発本でもハウツー本でもなく、
「大失敗を未然に防ぐ、少失敗で乗り切るための発達障害者ドキュメンタリー」に近い。
やっていくことが少し楽になりそうだな、と思った。

 

発達障害の僕が「食える人」に変わった すごい仕事術

発達障害の僕が「食える人」に変わった すごい仕事術

 

月。

14日

先日知り合った外国人、頻繁に連絡をくれるので嬉しい。コミュニケーションの化物っぽい。「今週何してたの?」と聞かれた(調べたら英語圏ではよく見るコミュニケーションらしい)ので、「友達と酒のんでカードゲームしてたよ」と伝えた。
そう、今週は人と会う予定を少なくしようと思っていたのだが、気づいたら月曜から木曜まで毎日友人と会っていた。

<月>
友人からいきなり「突然なんだけど家行っていい?」とLineが届く。確認したのが15時で、既に一日も終わりつつあったのだがバカなので良いよ、と返信。週頭からいきなり友人が泊まりに来た。
生物学が好きな友人で、科学誌の話などを聴く。
「生物の進化は"これまでなかった情報"がゲノムに書き込まれる瞬間に規定される」
「遺伝子が知っていること=ゲノムに書き込まれていることが生物の、ある程度の行動規範となるのであれば、人間以外の生物にも"倫理"の概念があるのではないか?」
と研究した学者がいるらしい。
要するに、殺人とか近親相姦とかが禁忌とされるのは「警察に捕まるから」ではなく、種の保存に対してのリスクとなり得るからだけど、そのタブーを生物がゲノムに従って避けている状態、というのは「倫理観を持って行動している」という状態と何ら変わりないのでは、という話。大変面白かった。